ゲノミクス:トポロジカル関連ドメインは複製タイミング調節の安定な単位である
Nature 515, 7527 doi: 10.1038/nature13986
真核生物の染色体は、複製タイミングプログラムとして知られる時間的な秩序に従って複製される。哺乳類では、複製のタイミングは細胞型に特異的であり、少なくともゲノムの半分は、発生の際に主として400~800キロ塩基の単位(「複製ドメイン」)で複製タイミングが切り替わる。これらの複製ドメインの位置は、細胞型が異なっても維持され、生物種の間でもよく保存されていて、染色体再編成による長距離の作用を限定しているように思われる。初期の複製と後期の複製はそれぞれ、Hi-C法(high-resolution chromosome conformation capture)で同定される開いた三次元クロマチン区画、閉じた三次元クロマチン区画と関連があり、また、それより程度は弱いものの、後期複製はラミナ関連ドメイン(LAD)とも関連がある。最近のHi-C法によるマッピングで、クロマチン区画内にはトポロジカル関連ドメイン(topologically associated domain;TAD)と呼ばれる副次的な構造が存在し、それらの位置は細胞型が異なっても保存されており、その大きさは複製ドメインと同程度であることが明らかになっている。しかし、TADはさらに小さなドメインに細分化できることから、特定規模での構造の重要性に疑問が生じている。その上、TADおよびLADと複製タイミングデータとの照合が試みられているが、共通した基盤となるドメイン構造は明らかになっていない。今回我々は、複製ドメインの境界の位置が複製タイミング移行領域の早期複製端であることを突き止め、18種類のヒト細胞型と13種類のマウス細胞型でその位置をマッピングした。そして、複製ドメインの境界は全体的にはTADの境界とほぼ1対1の関係にあるものの、1つの細胞型の中では、同時期に複製する隣接したTADが複製ドメインの境界を曖昧にしてしまうことを明らかにした。これまでの報告の整合性の無さは、ほぼこれで説明できる。さらに、ゲノムは、細胞型特異的なTADの複製タイミングによって大きなスケールの2つの核内区画に分かれることから、複製タイミング移行領域はクロマチン組成やラミナとの関連の点で後期複製領域と区別が付かないことが判明した。これによって複製タイミングとLADやヘテロクロマチンとの関連が低い理由の説明が付く。これらの結果によって、細胞型特異的な核内区画化や複製タイミングと発生において安定な構造ドメインとをうまく対応させることができ、大規模な染色体構造と機能についての統一的モデルが得られた。

