Letter

生化学:クロスキラルRNAポリメラーゼリボザイム

Nature 515, 7527 doi: 10.1038/nature13900

活性化モノヌクレオチドの鋳型による非酵素的重合は、ホモキラルな系では容易に進行するが、逆の対掌性を持つ鏡像異性体の存在によって大幅に抑制されることが30年前に示された。この知見により、RNAを基盤とする生命体の自然発生的な出現説に重大な難題が突き付けられ、RNAの前にキラル抑制を受けない別の何らかの遺伝性重合体が存在したか、あるいはRNAを基盤とする生命体が生じる前に、キラル対称性が化学的過程により破壊されたかのどちらかではないかと考えられるようになった。RNAの重合を触媒できるRNA酵素が生じると、その酵素によって2つの鏡像異性体が識別できるようになり、RNAの複製やRNAを基盤とする進化が可能になったのだろう。最も初期のRNAポリメラーゼとその基質は、対掌性が同じだったと一般に考えられているが、必ずしもそうである必要はない。D型およびL型のRNA分子の複製は、構造化したRNAが自身とは逆の対掌性を持つ活性化モノヌクレオチドの鋳型による重合を触媒できた場合には、同時に出現した可能性がある。今回我々は、ランダムな塩基配列を持つRNA集団から始まるin vitro進化を用いて、そのようなクロスキラルRNAポリメラーゼを開発した。83個のヌクレオチドから構成されるD型RNA酵素は、相補的なL型RNA鋳型上でのL型のモノあるいはオリゴのヌクレオチド基質の結合を触媒し、また、L型酵素とD型基質およびD型鋳型にも同様のことが起こる。この酵素ではクロスキラル基質に対して106倍の反応加速が見られるため、キラル抑制は回避される。この酵素は、逆の対掌性を持つ11種類のオリゴヌクレオチドを鋳型上で結合して自身の鏡像異性体の完全長コピーを作るのに十分なだけの活性を備えている。

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