免疫学:赤血球ベイシジンおよび阻止抗体と結合したマラリア侵入タンパク質RH5の構造
Nature 515, 7527 doi: 10.1038/nature13715
寄生生物であるプラスモジウム(Plasmodium)の生活環やマラリアの発症には、宿主赤血球への侵入が不可欠である。初期接触や尖端の方向付け、接着部位の形成、能動的侵入などの赤血球侵入の諸段階は、尖端にある特殊化した分泌小器官とそこに含まれる寄生生物タンパク質の協調した放出により誘導される。これらのタンパク質のうちで、全ての種で侵入に重要な役割を持つのは、RH(reticulocyte-binding protein homologue)とerythrocyte-binding like proteinの2つの寄生生物タンパク質ファミリーで、これらは宿主と寄生生物の相互作用を仲介する。熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)由来のRH5(PfRH5)は、これらのファミリーの中で唯一、検証された全ての株で赤血球侵入に必要であることが実証されたタンパク質で、その作用は赤血球表面タンパク質ベイシジン(basigin、別名CD147あるいはEMMPRIN)との相互作用を介して起こる。PfRH5あるいはベイシジンを標的とする抗体は、in vitroで原虫の侵入を効率良く阻害するため、PfRH5は優れたワクチン標的候補と考えられている。今回我々は、ベイシジンや2種類の阻害抗体と複合体を形成したPfRH5の結晶構造を示す。PfRH5は、3本のへリックスからなる2つのバンドルが凧に似た構造にまとまるという新規の折りたたみ方をとっており、先端の片方をベイシジンや阻害抗体の結合部位が占めている。これにより、プラスモジウムRHタンパク質ファミリーによる赤血球結合に関して最初の構造的手掛かりが与えられ、血液段階マラリア原虫に対する新世代ワクチンの設計につながる新規な阻害エピトープが明らかになった。

