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神経科学:大脳新皮質の放射状グリアはヒトではPDGFD–PDGFRβシグナル伝達を必要とするがマウスでは必要としない

Nature 515, 7526 doi: 10.1038/nature13973

ヒトの大脳新皮質の進化的拡大は、ヒト特有のさまざまな知的能力の基盤となっている。この新皮質拡大は、放射状グリア(RG;神経幹細胞)の増殖能の増大と、新皮質発生中の脳室周囲ニッチから脳室下帯へのRG分散に起因すると考えられてきた。このような適応は、RGでの遺伝子発現の変化によって進化した可能性がある。しかし、ヒトとそれ以外の種でRGの遺伝子発現に差異はあるのか、また、あるとすればどのように異なっているのかは明らかでない。本研究では、ヒトとマウスの新皮質RGにおける転写プロファイルが、神経発生期では広く保存されているが、特定のシグナル伝達経路に関しては違いが見られることを示す。2種間で差異のある遺伝子共発現関係を解析したところ、ヒトのRGでは皮質発生期に成長因子PDGFDが特異的に発現しているが、マウスのRGでは発現していないことが明らかになった。また、PDGFDに対する同族受容体であるPDGFRβの発現ドメインは進化的に分岐しており、ヒトでは背側新皮質の胚領域で高発現するが、マウスではそうでなかった。切片培養でPDGFD–PDGFRβシグナル伝達を薬理学的に阻害すると、ヒトの新皮質RGでは正常な細胞周期の進行が妨げられたが、マウスでは妨げられなかった。逆に、発生中のマウス新皮質に組換えPDGFDを注入したり、構成的活性型PDGFRβを異所的に発現させたりすると、RGの比率およびそれらの脳室下帯への分散が増加した。これらの知見は、ヒト新皮質発生におけるPDGFD–PDGFRβシグナル伝達の必要性を明らかにし、RGによる成長因子群の局所的産生が、大きな脳を持つ動物種の胚領域の拡大や前駆細胞の不均一性を支えていることを示唆している。

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