細胞生物学:2種のAPC/C化学的阻害剤による有糸分裂完了の相乗的阻止
Nature 514, 7524 doi: 10.1038/nature13660
タンパク質機械は複数のサブユニットからなるタンパク質複合体であり、高度に調節された生化学的作業の全体を調整する。例えば、後期促進複合体/サイクロソーム(APC/C)は、13個のサブユニットからなるユビキチンリガーゼであり、セキュリンやサイクリンB1などのタンパク質を標的としてプロテアソームによりユビキチン依存的に破壊することで、有糸分裂の中期から後期への移行と有糸分裂完了を開始させる。有糸分裂完了の阻止は、腫瘍細胞の細胞死を誘導する効果的な手段であるため、APC/Cはがん治療での有望な新規標的となっている。有糸分裂におけるAPC/C活性化には、Cdc20の結合が必要であり、Cdc20とAPC/Cは共受容体を形成し、D-box(destruction box)を含む基質を認識する。本研究では、APC/C–Cdc20–基質の三者複合体中の、2つのタンパク質–タンパク質相互作用を同時に破壊することにより、APC/Cに依存するタンパク質分解と有糸分裂完了を同時的に阻害できることを示す。我々は、Cdc20に結合し、D-boxを含む基質のユビキチン化を競合的に抑制する小分子を見つけ出し、apcin(APC inhibitor)と名付けた。apcin–Cdc20複合体の結晶構造解析からは、apcinがWD40ドメインの側面にあるD-box結合ポケットを占拠することが示唆された。apcinによる有糸分裂完了阻止作用は、APC/C–Cdc20相互作用を阻害する小分子であるトシル-L-アルギニンメチルエステルを同時に加えることで、相乗的に増幅される。本研究は、複数の弱いタンパク質間相互作用の同時破壊が、タンパク質機械の不活性化に有効な手段であることを示唆している。

