免疫学:新生児型Fc受容体機能の増強は霊長類SHIV感染に対する防御を向上させる
Nature 514, 7524 doi: 10.1038/nature13612
ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)感染を防止するには、消化管もしくは頸膣のウイルス侵入部位に活性な広範囲中和抗体(bnAb)が存在する必要がある。このような部位での抗体の持続的局在は、新生児型Fc受容体(FcRn)によって影響を受けるが、in vivoでの感染の防御におけるFcRnの役割は明らかにされていない。今回我々は、FcRn結合性が増強されたbnAbは腸粘膜組織に局在することが多くなり、これによって非ヒト霊長類でのレンチウイルス感染に対する防御能が改善されることを示す。HIV-1エンベロープ(Env)タンパク質のCD4結合部位(VRC01と呼ばれる)に対するbnAbについて、FcRnに対する結合親和性を増加させるために部位特異的変異導入による修飾を行った。FcRn結合性が強化されたこのbnAb変異体(VRC01-LSと命名)は、in vitroではヒトFcRnを発現する細胞単層を通過するトランスサイトーシスの増加が見られたが、FcγRIIIa結合能と抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性などの機能はVRC01(野生型)と同程度であった。VRC01-LSは、非ヒト霊長類でVRC01よりも血清半減期が3倍長く、血清中で検出されなくなっても直腸粘膜では存続していた。また、サル–ヒト免疫不全ウイルス(SHIV)による直腸内感染に対して、VRC01-LSによる防御は、VRC01による場合よりも優れている。これらの結果は、FcRn結合性の修飾は、血清半減期を長くするだけでなく、免疫防御を与える粘膜局在性を強化する機序をもたらすことを示唆している。従ってFcRn機能を増強する変異は、HIV-1感染を防止する受動免疫戦略の有効性と持続性を増加する可能性がある。

