Letter
がん:がん遺伝子除去に抵抗性を示す膵がん細胞はミトコンドリア機能に依存している
Nature 514, 7524 doi: 10.1038/nature13611
膵管腺がん(PDAC)は、欧米諸国で最も致死率の高いがんの1つで、生存期間中央値は6か月であり、長期間生存する患者の割合は極めて低い。KRAS変異がPDACのドライバー事象であることは分かっているものの、変異型KRASを標的とすることの難しさは立証されている。がん遺伝子が駆動するシグナル伝達経路を標的とすることは、いくつかの重篤な疾患に対する臨床的に有効な手法である。しかし、腫瘍の顕著な退縮にもかかわらず、再発する頻度が高いことから、発がん性シグナル伝達が遮断されても腫瘍細胞の一部は生存することが分かる。本論文では、p53LoxP/WTの背景で変異型Kras(KrasG12D)を誘導できる最近開発されたマウスモデルを用いて、PDAC維持における変異型KRASの役割を検討した。がん遺伝子除去後も生存し腫瘍再発の原因となる休止状態の腫瘍細胞の一部(生存細胞)は、がん幹細胞の特徴を持ち、生存を酸化的リン酸化に依存していることが分かった。生存細胞のトランスクリプトームおよび代謝の解析から、ミトコンドリア機能、オートファジーおよびリソソーム活性を支配する遺伝子の顕著な発現が明らかになり、また、細胞内のエネルギーに関してはミトコンドリア呼吸に強く依存し、解糖への依存は低いことも分かった。従って、生存細胞は、酸化的リン酸化阻害剤に高い感受性を示し、それらの薬剤により腫瘍再発を抑制できる。我々の統合的な解析から、膵がん管理に、KRAS経路とミトコンドリア呼吸を複合的に標的とする治療戦略が有望であることが明らかになった。

