Letter

大気化学:石油・ガス盆地におけるカルボニルの光分解に起因する冬季の高濃度オゾン汚染

Nature 514, 7522 doi: 10.1038/nature13767

水平掘削と水圧破砕法の組み合わせなどの新たな抽出技術の実現が主な理由となって、米国における石油とガスの生産量は、現在この40年間で最も急速に拡大している。こうした開発が環境に与える影響は、水質に対する影響からメタンの排出量の増加が気候に与える影響まで、活発な議論の的になっている。大気の質の影響は、窒素酸化物(NOx = NO + NO2)と揮発性有機化合物(VOC)の放出と関連している。それらの光化学反応によって、健康へ悪影響を及ぼす副次的な汚染物質であるオゾンが生成される。石油とガスを生産する米国西部の盆地における近年の観測によって、現在の大気環境基準をかなり上回るオゾン混合比が冬季のみに検出された。こうした地域における冬季のオゾン生成を理解することは科学的に困難である。この現象は、石油とガスの生産活動で生じる大気汚染物質の濃度が気象学的な逆転層によって高まる、積雪を伴う寒冷期に起こる。しかし、この時期には、オゾン生成に不可欠な光化学反応を起こすのに必要な太陽放射照度と絶対湿度が両方とも最小になる。本論文では、ユタ州北東部の石油・ガス盆地内の遠隔地からのデータとボックスモデルを用いて、こうした冬季の極端なオゾン汚染事象をもたらす光化学過程を定量的に評価し、この特異な環境におけるオゾン生成を制御する重要な要因を突き止めている。我々は、NO x濃度がより低く、VOC濃度が夏季の都市部よりはるかに高い場合にオゾン生成が起こり、カルボニル(C=O部を持つ酸素化されたVOC)の光分解が主なオキシダント源となっていることを見いだした。VOC濃度が極端に高いと、NOxのオゾン生成効率が最適化される。シェールからの石油とガスの抽出には世界の成長にとってかなりの可能性がある。今回の分析は、大気の質の影響を監視し、緩和する方策を伝え、主要な汚染物質に対する冬季のオゾンの応答に関する幅広い知見を得るのに役立つ可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度