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細胞生物学:単一細胞レベルでの代謝と成長に見られる確率論的性質
Nature 514, 7522 doi: 10.1038/nature13582
細胞増殖に分子レベルの確率論的性質が果たす役割の解明は、表現型の不均一性と細胞成長の安定性を理解する上で重要である。代謝反応事象が本質的に持つ確率論的性質がもたらす影響は、成長に関わる数多くの反応事象の影響が平均されることで無視できるだろう。実際、固定した条件の下では、代謝と成長は一定と見なされることが多い。代謝酵素の発現レベルの確率論的な変動は、それらが触媒する反応に変動を生じさせる可能性があるが、安定化のためのさまざまな調節機構の存在や、リボソームのような重要な細胞成分の適応が遅いこと、また過剰に存在する代謝産物の分泌や緩衝作用を考えると、代謝酵素の分子レベルの変動が成長に影響するかどうかは明らかではない。今回我々は、顕微鏡微速度撮影法を用いて、1個の大腸菌(Escherichia coli)細胞の瞬間成長速度の変動を測定し、lac遺伝子や中央代謝の酵素の発現の時間分解相互相関を定量した。異化作用活性のある酵素の発現変動が伝達されて酵素量の制限に依存して成長へと伝わり、成長の変動を引き起こし得ることを明らかにした。これとは逆に、成長の変動も逆方向に伝播して、発現を変化させる。従って、酵素は成長を介して、無関係な遺伝子へとノイズを伝達することが分かった。恒常性は、変動を細胞の体積拡大によるタンパク質の希釈に利用するノイズ解消機構によって促進される。これらの結果は、分子レベルのノイズが、調節タンパク質だけでなく、代謝反応によっても伝播されることを示している。この結果はまた、細胞の代謝には本質的に確率論的性質があり、これが表現型の不均一性をもたらす一般的な原因であることも示唆している。

