Letter
生態学:人新世の島嶼生物地理学
Nature 513, 7519 doi: 10.1038/nature13739
生物地理学では、生物多様性パターンを作り出す因子が、さまざまな地域で数世紀にわたって調べられてきた。島嶼についての研究は特に有益で、地理的面積と隔離度が生物種の定着、絶滅、種分化に影響し、大きな島ほど生物種の数が多く、隔離された島ほど種数が少ない(すなわち、種数–面積には正の関連が、種数–隔離度には負の関連がある)という理論に結び付いた。だが、この理論の実験による検証には限界がある。それは、種分化や遠方からの定着が関連してくるような規模で島を実験的に操作するのが難しいためである。今回我々は、カリブ海西インド諸島におけるアノールトカゲの人間の力を借りた移動を、適切な規模の検証として使うことにした。理論通り、アノールトカゲの定着が増えるにつれ、固有の生物種が少なくなっていた島では最も多くの外来種が住み着き、島の生物地理学的状況に対して種分化が過去に及ぼした影響が目立たなくなり、種数–面積の関連性は強くなったが、種数–隔離度の関連性は弱くなった。また、アノールトカゲの分布は、地理的要因よりも、人為的要因の方を次第に強く反映するようになった。地理的な面積や隔離度が決定要因となっていた過去の島嶼生物地理学とは異なり、人新世(現在を含む時代を表すものとして提案されている呼称)の島嶼生物地理学では、人間集団の経済的隔離が圧倒的な影響力を持つ。

