構造生物学:アポ状態のGluClのX線構造から明らかになったCysループ型受容体の開閉制御機構
Nature 512, 7514 doi: 10.1038/nature13669
Cys(システイン)ループ型受容体は神経伝達物質依存性イオンチャネルで、化学物質による速い神経伝達の必須のメディエーターであり、非常に多くの神経疾患や障害に加えて、寄生虫感染にも関係している。このイオンチャネルスーパーファミリーのメンバーは、リガンドやイオン選択性に依存して興奮性あるいは抑制性の神経伝達を仲介する。Cysループ型受容体の構造情報は、ニコチン性アセチルコリン受容体の電子顕微鏡研究、細胞外ドメインの高分解能X線構造、細菌オルソログのX線構造などの複数の研究から得られている。2011年、我々のグループは線虫の一種であるCaenorhabditis elegansのグルタミン酸依存性塩素チャネル(GluCl)について、アロステリックに働く部分アゴニストのイベルメクチンとの複合体の構造を報告し、これによって真核生物のCysループ型受容体の開口状態と思われるものの構造、陰イオン選択性とチャネル遮断の基盤、イベルメクチンやそれと近縁の分子が開口状態を安定化し神経伝達物質の結合を増強する機序に関する手がかりが得られた。だが、チャネルの開閉、閉じたイオンチャネルゲートの位置と性質、閉鎖/静止状態、開口/活性化状態および閉鎖/脱感作状態の間での移行、コンホメーション変化が細胞外オルソステリックアゴニスト結合ドメインおよび膜貫通イオンチャネルドメイン間を結び付ける機序については、未解明の問題が残されている。今回我々は、イベルメクチンがない状態でのC. elegans GluClのコンホメーションの異なる2つの構造を示す。構造比較によって、細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間の剛体の動きによって起こる4段階の活性化機序とリン脂質による受容体修飾の機序が明らかになった。

