Letter

古人類学:ネアンデルタール人消滅の時期と時空間的パターン化

Nature 512, 7514 doi: 10.1038/nature13621

ネアンデルタール人の消滅時期や、ユーラシアに最初に流入した解剖学的現生人類(AMH)とネアンデルタール人との共存期間の範囲は、古人類学上の重要な問題である。ネアンデルタール人が消滅するに至った過程、時期および理由や、ネアンデルタール人とAMHの間の文化的交流および遺伝子交換の可能性を解明するには、両集団間の時空間的な関係を明らかにすることが極めて重要である。しかし、放射性炭素法の測定限界が約5万年前までであるため、ネアンデルタール人生存年代の確定は重大な技術的難題に妨げられている。今回我々は、改良型の14C加速器質量分析法を用いて、ロシアからスペインまでの広い範囲にある主要なムステリアンおよびネアンデルタール遺跡40か所から、確実な年表を構築した。ベイズ年代モデリングから確率分布関数が得られ、最終出現年代が特定された。その結果、ヨーロッパ全域のムステリアン文化が較正年代で4万1030~3万9260年前(確率95.4%)に終焉したことが分かった。また、それに続く「過渡的」な複数の考古学的製作技術も似たような時期に終わっていることが明らかになり、そのうちの1つはネアンデルタール人と関連付けられているシャテルペロン文化だった。得られたデータは、ネアンデルタール人の消滅時期が地域によって異なっていたことを示している。今回のデータを、ウルッチアンの技術複合体と関連付けられていて、年代測定からヨーロッパ最古であることが分かっている複数のAMH遺跡から得られた結果と比較したところ、ネアンデルタール人とAMHの時間的共存を定量化できた。その結果、2600~5400年という長期の共存が明らかになった(確率95.4%)。これは、ネアンデルタール人がAMHに取って代わられた過程に関与した文化的、技術的および生物学的要素を説明するためのモデルにとって重要な意味を持つ。旧石器時代中期から後期への過渡期のヨーロッパに見られる複数集団のモザイク状の共存は、ネアンデルタール人とAMHの間で遺伝子交換が生じた可能性だけでなく、文化的および象徴的行動の伝達が起こるのにも十分な時間があったことを示唆している。

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