遺伝:大腸がんのシス調節性ドライバーと推定される遺伝子
Nature 512, 7512 doi: 10.1038/nature13602
がんの発生に関わるシス調節作用はこれまで、腫瘍発生に関わるタンパク質コードゲノムの異常ほどには詳しく研究されてこなかった。大腸がん(CRC)の発生について、より詳しく解明するために、我々はデンマーク人のCRC患者103人に由来する大腸腫瘍標品とそれにマッチする結腸正常粘膜標品についてRNA塩基配列解読実験を行い、そのうち90については生殖系列の遺伝子型判定も行った。対立遺伝子特異的発現(ASE)を調べることにより、生殖系列の遺伝子型が、腫瘍でも対立遺伝子の発現の重要な決定因子であることが分かった。腫瘍標品とそれにマッチする正常標品のASE変化を使って、CRCで過剰な体細胞性シス調節作用を持つ遺伝子、すなわち、がんのドライバーと考えられる遺伝子が71個見つかった。遺伝子型と遺伝子発現との相関から発現量的形質座位(eQTL)が明らかになり、正常標品で1,693個の、腫瘍標品で948個のeQTLが見つかった。腫瘍eQTLの36%はCRCに限定されたものと考えられ、特異的な転写因子の発現上昇とメチル化パターンの変化がこうした限定の一因であることが明らかになった。また、腫瘍特異的eQTLは、正常標品、腫瘍標品に共通するeQTLに比べ、CRCの全ゲノム関連解析(GWAS)で低いP値を示すものがより多く見られることが分かった。これは、一部のGWAS変異体が腫瘍特異的な調節性変異体であることを示唆している。重要なのは、腫瘍特異的eQTL遺伝子は、それ以外のeQTLよりも多くの体細胞変異を蓄積させていることで、これらが生殖系列由来のがん調節性ドライバーである可能性が考えられる。まとめると、ゲノムとトランスクリプトームとの統合により、腫瘍発生に役割を果たしていると推定される体細胞性および生殖系列のシス調節性がん変化が、かなりの数明らかになった。

