がん:造血幹細胞ニッチの神経障害は骨髄増殖性腫瘍に不可欠である
Nature 512, 7512 doi: 10.1038/nature13383
骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、造血幹細胞(HSC)区画での変異によって引き起こされる疾患である。ほとんどのMPN患者には、HSCのJAK2(Janus kinase 2)遺伝子に共通する後天性変異が見られ、この変異によってJAK2キナーゼが構成的に活性化されることで、制御不能な細胞増殖が引き起こされる。骨髄微小環境が、この共通する事象の臨床転帰に寄与している可能性がある。我々はこれまでに、交感神経繊維の支配を受ける骨髄のネスチン陽性間葉系幹細胞(MSC)が正常なHSCを調節することを明らかにした。本論文では、この調節回路の無効化がMPN発生に不可欠であることを実証する。シュワン細胞およびネスチン陽性MSCを支持する交感神経繊維は、MPN患者の骨髄および、HSCにヒトJAK2(V617F)変異を発現するマウスで一貫した減少を示す。予想外なことに、MSC減少は、分化に起因するのではなく、変異体HSCが産生するインターロイキン1βが誘発する骨髄神経損傷やシュワン細胞死によって引き起こされる。一方、in vivoでネスチン陽性細胞自体を除去する、あるいはそのCXCL12産生を減少させると、変異体HSCの数が増加し、MPNのプログレッションが加速した。対照的に、神経保護薬あるいは交感神経様作用薬を投与すると変異体HSCの増殖が阻止された。ネスチン陽性MSCの交感神経調節を回復させるβ3アドレナリン作動薬の投与は、ネスチン陽性MSCの喪失を防止し、白血病幹細胞の数を間接的に減少させることによって、MPNのプログレッションを阻止した。我々の結果は、HSCの変異によるニッチの損傷が、MPN発生に重要な役割を果たすことを実証し、また、ニッチ形成MSCやその神経調節が有望な治療標的であることを明らかにしている。

