Article

がん:がん細胞のグリコカリックスはインテグリンを介した増殖と生存を機械的に促す働きをする

Nature 511, 7509 doi: 10.1038/nature13535

悪性腫瘍は、細胞のグリコカリックス(糖衣)を構成する多糖類や糖タンパク質の発現変化を伴う。我々は、糖タンパク質の発現シグネチャーを構築し、これによって転移性腫瘍では大型の糖タンパク質の発現が増大することを明らかにした。計算モデルでは、このような糖タンパク質が、膜貫通型受容体の空間的構造や機能に影響を及ぼす可能性が予測された。我々は、グリコカリックス中のかさばる糖タンパク質が、インテグリンの接着とシグナル伝達を増加させてヒト細胞で腫瘍表現型を促進するかどうかを調べてこの予測を検証した。その結果、かさばるグリコカリックスは、活性型インテグリンを接着領域へ集積させ、アクトミオシンによる収縮とは無関係にマトリックス結合型インテグリンへ張力を付与することでインテグリンの状態を変えて、そのクラスター形成を促進させることが明らかになった。形質転換していない乳腺細胞で大型の腫瘍関連糖タンパク質を発現させると、フォーカルアドヒージョン形成が促進され、細胞の増殖と生存を支持するインテグリン依存性増殖因子シグナル伝達が亢進した。臨床研究からは、進行がんの患者由来の循環中腫瘍細胞で大型糖タンパク質が大量に発現していることが明らかになった。従って、かさばるグリコカリックスは腫瘍細胞の特徴であり、細胞表面受容体の機能を機械的に増強することで、転移を促進している可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度