Letter

細胞:ABCB5遺伝子は角膜の発生と修復に必要とされる角膜輪部上皮幹細胞遺伝子である

Nature 511, 7509 doi: 10.1038/nature13426

角膜上皮の恒常性と再生を維持しているのは角膜輪部上皮幹細胞(LSC)であり、LSC欠乏は世界的に失明の主原因の1つとなっている。LSC欠乏症の患者では、移植が唯一の治療選択肢であることが多い。移植の成功を左右する第一の要因は移植片内に存在するLSCの数であるが、将来のLSC数増加を可能にする遺伝子はまだ見つかっていない。今回我々は、ABCB5(ATP-binding cassette, sub-family B, member 5)がLSCのマーカーであり、LSCの維持、角膜の発生と再生に必要とされることを示す。さらに、移植用に単離したヒトとマウスのABCB5陽性のLSCには、異種移植、同種移植のモデルであるLSC欠失マウスに移植した際に角膜を完全に回復させる他にない能力があることも実証された。ABCB5は、マウスではラベル保持LSCで、ヒトではp63α陽性LSCで選択的に発現されている。LSC欠乏症患者でABCB5陽性LSCの存在数が減少していることは、これらの知見と一致している。Abcb5ノックアウトマウスでのAbcb5機能喪失は、過剰な増殖とアポトーシスによる静止状態LSC減少を引き起こし、その結果角膜の分化と創傷治癒が障害される。遺伝子ノックアウト実験、LSC追跡、移植モデルから得られたこれらの結果は、ヒトの生検標品の表現型解析、機能解析とともに、ABCB5によって哺乳類のLSCを識別できることを、共通して証拠立てている。角膜の発生と修復に不可欠な機能を持つLSCを分子レベルで識別し単離することが可能になれば、角膜疾患、特にLSC欠乏による角膜性視覚障害の治療に重要な意味を持つだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度