神経科学:ゲノム塩基配列解読により明らかになった、重度知的障害の主原因
Nature 511, 7509 doi: 10.1038/nature13394
重度の知的障害(ID)は新生児の約0.5%に見られ、大部分は遺伝的な原因によると考えられている。この障害は遺伝的に非常に不均一であり、そのためゲノム全域にわたってあらゆるタイプの遺伝的変動を検出する必要がある。マイクロアレイ研究、そしてさらに最近ではエキソーム塩基配列解読によって、IDではde novoコピー数変動(CNV)と一塩基変動(SNV)が重要であることが明らかになっているが、大半の症例は診断がつかないままである。今回我々は、重度のID患者50人と罹患していない彼らの両親について、全ゲノム塩基配列解読を行った。これらの患者は全員、マイクロアレイを用いたCNV検査やエキソーム塩基配列解読などの詳細な遺伝的事前スクリーニングでは、分子診断がついていなかった。このような事前スクリーニングが行われていたにもかかわらず、コード領域に影響するようなde novo SNVが84個も見つかり、それらの中には、これまでID関連疾患に関連するとされてきた遺伝子が豊富に見られただけでなく、機能喪失変異が統計学的に有意に多いことが分かった。また、単一エキソン欠失およびエキソン内欠失、さらに染色体間重複といった8個のde novo CNVも見つかった。これらのCNVが、既知のID遺伝子に影響を及ぼす頻度は予想以上に高かった。全てのde novo変異体の診断解釈に基づき、20人の患者で決定的な遺伝的診断に至った。劣性遺伝型の病気を引き起こす複合的なヘテロ接合CNVの1例も加えて、これにより、詳細に検証されたこのコホートでは42%で診断が得られ、任意抽出のコホートでの診断率の累積推定値は62%となった。これらの結果は、コード領域に影響するde novo SNVおよびCNVが、重度のIDの主要な原因の1つであることを示唆している。ゲノム塩基配列解読を単独で遺伝学的検査として使用するだけで、高い信頼性をもって遺伝的変動の包括的スペクトルを明らかにして特徴付けできるようになり、重度ID患者の大半に遺伝的診断を提供できる。

