Letter

がん:DNAメチル化塩基配列解読を用いて髄芽腫の調節性の全体像を明らかにする

Nature 510, 7506 doi: 10.1038/nature13268

DNAメチル化およびクロマチン構造の破壊といったエピジェネティックな変化は、現在、腫瘍形成に広く見られる特徴と考えられている。難治性の小児悪性脳腫瘍である髄芽腫も例外ではない。最近のゲノミクス研究から多くの進歩が得られ、髄芽腫の4つの腫瘍サブグループ(WNT経路活性化型、SHH経路活性化型、およびあまり特徴が明らかになっていないグループ3およびグループ4)のそれぞれに頻発する変化が明らかになっているにもかかわらず、明瞭な遺伝的ドライバーがいまだに見つかっていない症例は多い。本論文では、34検体のヒト腫瘍と5検体のマウス腫瘍、および8検体のヒト正常対照と3検体のマウス正常対照についての全ゲノムバイサルファイト塩基配列解読法によるデータを、マッチした全ゲノム塩基配列解読、RNA塩基配列解読およびクロマチン免疫沈降塩基配列解読(ChIP-seq)データで増補して提示する。この包括的なデータセットから、ゲノム、エピゲノムおよびトランスクリプトームの間の相互作用、そしてその相互作用が髄芽腫に与える病態生理学的影響の基礎となるいくつかの特徴が解明できた。最も注目すべきは、遺伝子発現の上昇と相関する低メチル化領域が非常に豊富に存在し、転写開始部位の数十キロベース下流にまで広がっていることである。転写因子結合部位に関連する低メチル化領域が限局していることから、腫瘍サブグループ間で異なる転写ネットワークが存在することが明確になったが、DNA methylation valleyと呼ばれる低メチル化領域での抑制されたクロマチンの再正常化によるメチル化の増加は、遺伝子発現と正の相関があった。ゲノムの最大3分の1に影響を与える広範囲な部分的メチル化領域では、腫瘍サブグループ特異的に変異率の上昇および遺伝子サイレンシングが見られた。エピジェネティックな変化は髄芽腫の新規候補遺伝子(例えば、LIN28B)にも影響を与えており、その結果、選択的プロモーターの使用および/あるいはメッセンジャーRNA/マイクロRNAの差別的な発現が起きていた。マウスの髄芽腫および前駆細胞のメチル化の解析から、多くの変化が体細胞起源であることが実証された。我々のデータは、髄芽腫の発生における転写およびゲノム構成のエピジェネティックな調節を理解する手がかりになり、またおそらくは発生や疾患といったより広範な状況でも重要である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度