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構造生物学:膜タンパク質は脂質に選択的に結合することで自身の構造と機能を調節する

Nature 510, 7503 doi: 10.1038/nature13419

これまでの研究で、膜タンパク質の折りたたみ、構造、機能が脂質環境に影響されること、また脂質が、例えばカリウムチャネルの内部などのような特異的部位に結合することが分かっている。しかし、膜タンパク質の脂質に対する選択性の程度という基本的な疑問は解明されていない。今回我々は、膜タンパク質複合体に対する脂質の結合の選択性を決定するために質量分析法を用いる方法を設計し、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来の大コンダクタンス機械刺激受容チャネル(MscL)、大腸菌(Escherichia coli)由来のアクアポリンZ(AqpZ)およびアンモニアチャネル(AmtB)について、気相の衝突断面積を測定するイオン移動度質量分析(IM-MS)法を用いて調べた。これによって、膜タンパク質複合体の折りたたまれたコンホメーションは気相でも存在することが明らかになった。脂質と結合した状態の解析により、膜タンパク質の構造が気相でほどけるのを妨げる能力、従って膜タンパク質の構造を安定化する能力に基づいて、結合した脂質をランク付けした。脂質はMscLには非選択的に高いアビディティーで結合し、どれもが同程度にMscLを安定化したが、最も高いランクになったのはホスファチジルイノシトールリン酸である。この結果は、この脂質が機械感覚機能に関わると考えられていることと一致している。AqpZも多くの脂質によって安定化され、折りたたみをほどくのを妨げる作用が最も強いのはカルジオリピンであった。続いて行われた機能的アッセイによって、カルジオリピンがAqpZの機能を調節することが明らかになった。同様な実験で、AmtBのホスファチジルグリセロールに対する選択性が非常に高いことが分かったため、脂質膜に類似したこの環境でのX線構造を決定することにした。得られた分解能2.3 Åの構造と、脂質が結合していない状態で得た構造との比較から、AmtB残基の位置が変わって脂質二重層と相互作用するようになる独特なコンホメーション変化が起こっていることが明らかになった。これらの結果から、折りたたみをほどくことに対する抵抗性は、特定の脂質の結合と相関していることが分かり、膜タンパク質に単に結合するだけの脂質と、膜タンパク質の構造や機能を変化させる脂質との区別が可能になった。これらの知見は、膜タンパク質の脂質に対する選択性の決定に重要なだけでなく、脂質がタンパク質の機能や薬剤の結合の調整に果たす役割の解明にも重要と考えられる。

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