Letter
量子物理学:陽子の磁気モーメントの直接高精度測定
Nature 509, 7502 doi: 10.1038/nature13388
陽子の基本特性の1つに磁気モーメントμpがある。これまで、μpの測定は、磁場中の原子水素メーザーのスペクトルを解析することによって間接的にしか行われていなかった。今回我々は、二重ペニングトラップ法を用いて、陽子1個の磁気モーメントを高精度で直接測定したことを報告する。我々は、均一磁場を持つペニングトラップにおいて、RF磁場によって陽子スピンの量子飛躍を駆動している。誘起されたスピン遷移は、強い重畳磁場不均一性を持つ第二のトラップにおいて検出される。これにより、駆動周波数の関数としてスピン反転確率の測定が可能になる。各測定において、陽子のサイクロトロン周波数を用いてトラップの磁場を決定している。我々は、正規化共鳴曲線から、核磁子単位で陽子の磁気モーメント(μp = 2.792847350(9)μN)を得ている。この測定結果は、これまでのペニングトラップ測定の結果よりも、精度の点で約760倍優れている。また、μpを得るために束縛状態を理論的に大幅に補正する必要があった40年前の間接測定の結果と比較して、精度を3倍向上させている。この方法を反陽子磁気モーメントに応用すれば、最近報告された値の分率精度が少なくとも1,000倍向上する可能性がある。その結果を今回の結果と組み合わせれば、バリオンによる物質/反物質対称性の厳密な検証が可能になるであろう。

