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神経科学:表皮メルケル細胞は哺乳類の触覚受容器を調整する機械的刺激感知細胞である

Nature 509, 7502 doi: 10.1038/nature13250

パタパタ叩かれるような感覚や押された圧感覚などの触覚に関わる機械刺激は、体性感覚求心性神経によって伝達され、その神経終末に付属する特殊な器官は機械刺激の特徴を抽出して、それらを特有のパターンを持つ神経活動電位に符号化している。皮膚に存在している、神経ではない細胞が能動的あるいは受動的に触覚受容器をチューニングしているのかどうかに関する議論は決着がついてない。蝸牛では、基底膜で複合音を純音振動に分解し、機械刺激を感知する有毛細胞がこの振動を電気的シグナルに変換するが、触覚において神経終末に位置する特殊な器官は、蝸牛の基底膜に類似した受動的な機械フィルターとして機能すると考えられている。表皮細胞は刺激感受性イオンチャネルや神経伝達物質を発現していることから、皮膚の特殊化した器官は受動的に刺激を感知しているだけであるとするモデルに対して、最近では異議が唱えられている。しかし、表皮細胞が触覚の求心性神経を興奮させるという直接的証拠は得られていない。表皮メルケル細胞は機械受容器としての特徴を示し、遅順応I型(SAI)求心性神経と「シナプス様」の結合を形成している。このような複合体は、エッジや質感などの空間的な特徴を符号化しており、ヒゲの毛包、指先や触盤(タッチドーム)などの高い空間解像度を持つ皮膚部位に位置している。本論文では、メルケル細胞がマウスで触覚受容に能動的に関与していることを示す。メルケル細胞は、触刺激によって引き起こされる即応答性の機械刺激–電気シグナル変換電流を示した。生体皮膚での光遺伝学的手法を用いた実験により、メルケル細胞の存在が触覚求心性神経で持続性の活動電位の発火に必要かつ十分な条件であることが分かった。メルケル細胞を欠損するマウス触盤の求心性神経応答記録により、メルケル細胞が動的な刺激に対する高頻度の神経インパルス応答を生じ、持続的な神経発火を可能にすることが実証された。これらのデータは、表皮細胞と感覚神経との間で興奮性のやり取りが機能していることを、我々が知るかぎりで初めて、直接に実証している。以上の知見は、メルケル細胞が機械刺激応答を能動的に調整して、時空間的な高い解像度を与えることを示している。加えて、我々の結果は、メルケル細胞–神経複合体である種の役割分担が行われていることを示している。すなわち、メルケル細胞は圧感覚などの静的な刺激を伝達し、その一方で感覚求心性神経は移動している格子状の刺激(moving grating)のような動的刺激を伝達している。従って、メルケル細胞–神経複合体は、異なる触覚モダリティーを判別するために特殊化した、2つの異なる受容器で構成された独特な感覚器構造である。

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