微生物の異なる経路に由来する一過性ネオ抗原によるT細胞活性化
Nature 509, 7500 doi: 10.1038/nature13160
T細胞は、はっきり識別できる微生物分子(主にペプチドや脂質)を認識することで、外来分子と宿主分子とを区別する。多くの細菌や酵母で見られるリボフラビン前駆体も、ヒトに豊富に存在する自然免疫様T細胞である粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞集団を選択的に活性化する。しかし、この小型有機分子の起源と、主要組織適合複合体(MHC)関連タンパク質MR1によるMAIT細胞への提示様式はあまり解明されていない。今回我々は、MAIT細胞の活性化には、細菌のリボフラビン合成の初期中間体である5-アミノ-6-D-リビチルアミノウラシル(5-A-RU)を生成する酵素をコードする重要な遺伝子が必要であることを示す。5-A-RUはMR1に結合せず、直接MAITを活性化することもないが、非酵素反応を介して他の代謝経路由来のグリオキサールやメチルグリオキサールなどの低分子と強力なMAIT活性化抗原を形成する。5-A-RUとグリオキサール/メチルグリオキサールとの間の反応によって形成されるMAIT抗原は、それぞれ5-(2-オキソエチリデンアミノ)-6-D-リビチルアミノウラシル(5-OE-RU)と5-(2-オキソプロピリデンアミノ)-6-D-リビチルアミノウラシル(5-OP-RU)という単純な付加化合物であり、これらはMAITおよびTCRとの三者複合体の結晶構造によって示されるように、MR1に結合している。5-OP-RUと5-OE-RUは不安定な中間体だが、これらは可逆的共有結合を形成するシッフ塩基複合体としてMR1によって捕捉されるようになる。質量スペクトルからは、MAIT細胞を活性化する細菌の培養に由来する5-OP-RUおよび5-OE-RUがMR1によって捕捉され、MAIT細胞を活性化しない細菌由来のものは捕捉されないことが裏付けられた。このことは、これらのMAIT抗原が幅広い微生物に存在することを示している。従ってMR1は、化学的に不安定なピリミジン中間体(捕捉されなければルマジンに転換される)を、捕捉、安定化してMAIT細胞に対する強力な抗原として提示することができる。こうしたピリミジン付加化合物は、微生物が持つ特徴としてMAIT細胞による免疫監視の対象となる。

