細胞生物学:NCOA4がフェリチノファジーを仲介する積み荷受容体であることの定量的プロテオミクスによる同定
Nature 509, 7498 doi: 10.1038/nature13148
オートファジーは、タンパク質や細胞小器官をオートファゴソームと呼ばれる二重膜構造体に隔離し、リソソームに輸送して分解する過程であり、がんや神経変性などの疾患で非常に重要となる。この過程は、主にバルクの細胞質のオートファジーの解析によって解明されてきたが、細胞小器官、タンパク質、細胞内病原体などの特異的な積み荷が選択的オートファジーの標的となる機構はよく分かっていない。今回我々は、定量的プロテオミクスを用いて、ヒト細胞でオートファゴソームに豊富に存在する新規および既知のタンパク質群を、積み荷受容体を含めて明らかにした。既知の積み荷受容体と同様に、NCOA4(nuclear receptor coactivator 4)はオートファゴソームに高濃度で存在し、積み荷–受容体複合体をオートファゴソームに動員するATG8タンパク質と結合していた。NCOA4結合タンパク質を不偏同定したところ、フェリチン重鎖と軽鎖が含まれていた。フェリチン重鎖・軽鎖は鉄を内包するケージ構造の構成要素である。このケージ構造は活性鉄種から細胞を保護するが、オートファジーによって分解され未知の機構により鉄を放出する。フェリチンのリソソームへの輸送にはNCOA4が必要であり、NCOA4欠損細胞ではフェリチンの分解ができないために生物学的に利用できる細胞内鉄が減少していることが分かった。この研究によって、NCOA4が鉄の恒常性維持に極めて重要なフェリチンのオートファジーによる代謝回転(フェリチノファジー)のための選択的積み荷受容体であることが突き止められ、オートファゴソームにおける積み荷–受容体の関係性をさらに解明するための材料が提供された。

