構造生物学:RIG-Iによるユビキチンを介した抗ウイルスシグナル活性化の構造基盤
Nature 509, 7498 doi: 10.1038/nature13140
ユビキチン(Ub)は、広範な細胞内シグナル伝達経路で重要な役割を果たしている。Ubは、共有性修飾を介して標的タンパク質のシグナル伝達活性を変化させるとこれまで考えられてきたが、Ubと標的タンパク質の間の非共有性相互作用に新たな役割があることを示す証拠が集まりつつある。ウイルスRNAのセンサーであるRIG-Iによる自然免疫シグナル伝達経路では、RIG-Iのシグナル伝達ドメイン、すなわち、縦列に並んだカスパーゼ活性化・動員ドメイン(以下2CARDとする)内で、K63で結合したUb鎖(K63-Ubn)との共有性相互作用、および非共有性相互作用の両方が起こることが示されている。K63-Ubnが2CARDに非共有結合すると2CARDの四量体形成が引き起こされ、これは下流でのシグナル活性化に必要である。今回我々は、3本のK63-Ub2鎖と結合したヒトRIG-I 2CARD四量体の結晶構造を報告する。2CARDは集まって「ロックワッシャー(ばね座金)」に似たらせん型の四量体を形成し、この四量体表面がシグナル伝達プラットフォームとして働き、下流のシグナル伝達分子MAVSを引き寄せ、活性化する。Ub鎖はらせん状の外縁に沿って結合し、2CARDの隣接するサブユニットを架橋し、2CARD四量体を安定化する。構造解析と機能解析を組み合わせて使い、2CARDにK63-UbnというUbの特異的な結合を引き起こし、また結合するK63-Ubnの長さを決めているのはアヴィディティであることが明らかになった。また2CARDへの共有性Ub結合がUb–2CARDの相互作用、ひいては2CARD四量体をさらに安定化することも分かった。我々の研究により、Ubを介した新しいタイプのシグナル活性化機構についての他にない知見が得られ、Ubとの共有結合性相互作用と非共有結合性相互作用の間に、これまで予想されていなかった相乗効果があることが示唆された。

