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微生物学:赤痢アメーバによるトロゴサイトーシスは細胞の殺傷と組織への侵入に関わっている
Nature 508, 7497 doi: 10.1038/nature13242
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は、途上国で見られ、致命的になりかねない下痢症であるアメーバ赤痢(アメーバ症)の病原体である。この寄生虫は、宿主の組織を破壊する能力を持つために「histolytica」という名を付けられているが、この組織破壊はヒト細胞を直接的に殺す作用による可能性が高い。ヒト細胞を殺滅する仕組みは不明だが、このアメーバが毒性のエフェクターを分泌することで細胞を殺してから取り込むというモデルが一般に受け入れられてきた。今回我々は、生きているヒト細胞の断片を少しずつアメーバが取り込んだ結果、細胞内カルシウム濃度が上昇して、最終的に細胞死が起こることを見いだした。細胞が死ぬとアメーバは細胞から離れ、取り込みを止める。アメーバがヒト細胞を殺すには細胞断片の取り込みが必要で、この取り込みが腸管組織への侵入にも関わっている。生きたヒト細胞断片の取り込みは、免疫細胞同士間で観察されているトロゴサイトーシス(trogoはギリシア語で、「かじる」という意味)によく似ているが、アメーバによるトロゴサイトーシスは細胞死につながる点が異なっている。生きた細胞の物質を取り込み、死骸を拒絶することは、多細胞生物で確立している死細胞の除去モデルとは際立った対照をなしている。これらの知見は、アメーバ赤痢における組織破壊のモデルを変更するとともに、トロゴサイトーシスが細胞間物質交換の一形態として古い起源を持つことを示唆している。

