地球:高速で拡大する海嶺における浅部の軸上と深部の軸から離れた混成熱水循環
Nature 508, 7497 doi: 10.1038/nature13174
海洋拡大中心における熱水流は、海洋の全熱流量の約10%に相当し、若い海洋プレートの熱的構造を制御している。さらに、それは、海洋と地殻の化学的性質に影響を及ぼし、化学合成生態系に基盤を提供し、地球史全体を通して大量の硫化鉱床を形成してきた。それにもかかわらず、特に下部地殻から、どのようにどのような条件下で熱が抽出されるかについては、ほとんど分かっていない。本論文では、高速で拡大する海嶺下の熱水流の、高分解能の全地殻二次元シミュレーションと三次元シミュレーションを提示する。これらのシミュレーションによって、異なる物理機構により支配され、メルトレンズの上で合流して海嶺中心の噴出サイトに供給される、2つの相互作用する流れ成分が存在することが予測される。浅部の軸上での流れの構造は、水の熱力学的性質により発達するが、より深部の軸から離れた流れは、地殻の透水性、特に脆性–塑性遷移により強く形成される。放出される流体質量の約60%は、温度の高い熱プリュームを取り囲む熱い(最大で300°C)再充填流により軸の上に補充され、残りの約40%程度は軸から最大数キロメートル離れたところで、より温度の低い広範な再充填として発生し、高温(500~700°C)で深部に生成源がある軸から離れた海嶺に向かう流れに供給される。質量流束全体に対する寄与はより小さいが、この深部の軸から離れた流れは、海嶺軸で放出される熱エネルギーの約70%を輸送している。2つの流れ成分のこの組み合わせは、地震学的に決定された地殻の熱的構造を説明し、浅部の軸上の熱水循環か深部の軸から離れた流れかのどちらかを支持する相いれないこれまでのモデルを両立させる。

