Letter

神経科学:方向選択性網膜神経節細胞と一次視覚皮質とを結ぶ専用回路

Nature 507, 7492 doi: 10.1038/nature12989

環境中の特定の特徴が脳内でどのように表現されているかは、神経科学における重要な問題だが、まだ未解決である。方向選択性神経節細胞(DSGC)と呼ばれる一群の網膜ニューロンは、視野内の特定の方向軸に沿った視対象の移動の検出に特化した細胞である。DSGCに特有な同調特性を付与する網膜内神経回路については、詳細な研究が行われてきたが、その下流で働く脳内回路は不明で、従って視覚処理へのその寄与については解明されていない。マウスでは、複数の多様な型のDSGCが、皮質への中継ニューロンを含む視覚系視床構造である外側膝状体背側核(dLGN)と結合している。しかし、網膜のレベルで計算された方向選択性情報が皮質回路へ送られて他の視覚情報経路に統合されているかどうかは不明である。今回、DSGCと一次視覚皮質(V1)浅層とをつなぐ2シナプス性回路があることを、ウイルスを用いた経シナプスマッピング法と、視床皮質軸索中の視覚刺激によって駆動されるカルシウム信号の機能的画像化によって示す。この回路には、複数の型のDSGCからの情報が集まり、dLGNの特殊な一部領域に収斂したあと、方向に同調した信号と方位に同調した信号とをV1浅層へ送る。注目すべきことに、この回路は、視覚情報のうち方向には同調していない情報をV1深層(例えば第4層)に送る網膜-膝状体-皮質経路とは、解剖学的に分離している。従って、マウスには機能別に特化した、複数の並行する網膜-膝状体-皮質経路があり、そのうちの1つが網膜DSGCから発して方向と方位に同調した信号を一次視覚皮質の浅層に特異的に送ることが明らかになった。今回のデータは、一部のV1ニューロンの方向および方位選択性が、DSGCの活動によって影響を受ける可能性を示す証拠となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度