Letter

材料:2層グラフェンにおける転位

Nature 505, 7484 doi: 10.1038/nature12780

転位は、材料科学分野における最も興味深い基本的な概念の1つである。最も重要なのは、転位が結晶材料における塑性変形の主な担い手となることである。さらに、転位は、半導体やイオン結晶の局所的な電子的特性や光学的特性に強い影響を与え得る。サイズの小さい材料では、転位は広範な鏡像力を受け、この力によって、転位が表面に引き寄せられ、ひずみエネルギーを放出するのである。しかし、グラファイトなどの層状結晶では、転位の移動は主として基底面に限られている。従って、転位は逃げることができず、わずか単層2枚という薄さの結晶に転位を閉じ込めることが可能になる。こうした極端な境界条件の下で転位の性質を探るには、2層グラフェンが最適材料であり、これは、そうした線欠陥を閉じ込めることのできる結晶の中で、考えられる最も薄い準二次元結晶である。炭化ケイ素上の高品質エピタキシャル・グラファイトから得た均一で丈夫なグラフェン膜は、そうした研究に理想的なプラットフォームとなる。今回我々は、透過電子顕微鏡法を用いて自立2層グラフェンの基底面転位を直接観察し、回折コントラスト解析と原子論的シミュレーションで詳細に調べたことを報告する。今回の研究によって、2つの著しいサイズ効果が明らかになっている。1つ目は、積層欠陥エネルギーがないという2層グラフェンに独特な特性が、積層秩序のAB ↔ AC交互変化に対応する特徴的な転位パターンをもたらすことである。2つ目は、実験と原子論的シミュレーションを組み合わせた結果、ひずみ緩和に直接起因する2層グラフェン膜の顕著な座屈が明らかになっている。実際、座屈が2層グラフェンのひずみ状態を変化させており、電子的特性に極めて重要である。今回の研究結果は、転位を理解し、2層グラフェンや数層グラフェンの構造的特性、機械的特性、電子的特性における転位の役割を解明するのに役立つだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度