生態学:湿地により促進されるアマゾン川からの二酸化炭素の放出
Nature 505, 7483 doi: 10.1038/nature12797
河川系は、地球の炭素循環において、全球の生物圏、大気、海洋を結びつけている。最近の見積もりでは、最大で年間3ペタグラムの炭素が全球の陸水から二酸化炭素(CO2)として放出され、陸域の生態系における炭素の吸収を相殺している可能性が示唆されている。一般的に、上流域において陸生植物の光合成によって固定され、次に土壌へ運ばれた後、流去水に含まれて下流域へ輸送される炭素を、陸水が放出していると仮定されている。しかし、全流域のスケールでは、小さな川によって上流に輸送される水平方向の炭素フラックスの見積もりは、下流の浸水域から放出される全てのCO2の説明とはならない。世界の浸水地の4分の3は一時的な湿地からなるが、こうした生産的な生態系の陸水の炭素収支への寄与の大部分は見落とされてきた。本論文では、アマゾン中部の氾濫原では、湿地が大量の大気中CO2を河川水へ供給していることを示す。浸水林と浮遊植生は、大量の炭素を河川水へ移出し、溶存CO2は、放出されるまでに数十から数百キロメートル下流へ輸送され得る。我々は、浸水していない高地の生態系では総一次生産量の数パーセントしか移出されないのと比べて、アマゾンの湿地は、総一次生産量の約半分を溶存CO2や有機炭素として河川水へ移出していると見積もっている。さらに、湿地の炭素移出量は、アマゾン川中部とその氾濫原からCO2として放出される、少なくとも年間0.21ペタグラムの炭素を説明するのに十分である可能性が示唆される。全球の炭素収支では、一時的な浸水域や植生のある浸水域を系統立てて扱うべきである。なぜなら、こうした生態系は、高い地上部一次生産と大量かつ高速な炭素移出を結びつけており、陸水からのCO2放出のかなりの部分を担っている可能性があるからである。

