Letter
植物科学:サイトカイニンシグナル伝達が関わる阻害的な場が、葉序にロバスト性をもたらす
Nature 505, 7483 doi: 10.1038/nature12791
生物系が再現可能なパターンを極めて正確に作り出す仕組みは、科学における重要な疑問の1つである。茎頂分裂組織(SAM)は、植物で組織を作り出すように特化した地上部器官であり、この疑問の解明に適した発生系である。SAMでは、定期的に特異的な空間的位置で器官形成が始まり、この時空間パターンが葉序を決定する。器官形成を引き起こすのは植物ホルモンのオーキシンの蓄積である。一方、器官の周辺でオーキシンが欠乏すると阻害的な場が生じ、これだけで器官形成パターンとその動態を維持するのに十分であると考えられている。今回我々は、ホルモンが関わる阻害的な場で、これとは別種のものが存在し、葉序パターンの調節に関与していることを明らかにした。この阻害的な場は、サイトカイニンシグナル伝達の阻害因子ARABIDOPSIS HISTIDINE PHOSPHOTRANSFER PROTEIN 6(AHP6)の細胞間移動によって、オーキシンの下流に直接生じる。AHP6が関わる阻害的な場は、分裂組織中にサイトカイニンシグナル伝達のパターンを確立し、これが器官形成開始の時間的順序を決めることによって、葉序のロバスト性に寄与している。これらの知見は、SAMでの反復構造形成を時間的に正確に達成するには、ホルモンが関わる阻害的な場が1種類だけではなく、2種類必要である可能性を示しており、動的な発生系にロバスト性を付与する独自の機構を示している。

