がん:HMGA2は競合内因性RNAとして機能し、肺がんのプログレッションを促進する
Nature 505, 7482 doi: 10.1038/nature12785
非小細胞肺がん(NSCLC)は、がんの組織型として、世界で最も多く見られるものである。患者の大半では浸潤性転移がんが見られるため、肺がんのプログレッションの基盤を解明することが極めて重要である。Hmga2は転移肺腺がんで高度に発現している遺伝子で、このがんのプログレッションと転移に役割を果たしている。今回我々は、Hmga2がマウスとヒトの細胞でlet-7マイクロRNA(miRNA)ファミリーに対する競合内因性RNA(competing endogenous RNA;ceRNA)として作用して、肺がんの進行を促進することを示す。Hmga2が肺がん細胞の形質転換を促進する作用は、タンパク質をコードする機能には依存しないが、let-7部位の存在には依存する。この作用はlet-7アイソフォームのレベルが変化せずに起こることから、Hmga2はmiRNAターゲッティングを変化させることによりlet-7の作用に影響を及ぼすと考えられる。このような作用はin vivoでも観察され、Hmga2のceRNA活性によって、肺がんの増殖、浸潤、播種が促される。miRNAの標的予測アルゴリズムと転移肺がんの遺伝子発現データを統合して解析したところ、TGF-β共受容体Tgfbr3が、Hmga2のceRNA機能の標的と推定された。ceRNAとしてのHmga2は、Argonaute 2(Ago2)への動員を変化させることによってTgfbr3の発現を調節しており、Hmga2による肺がんのプログレッション促進には、Tgfbr3を介したTGF-βシグナル伝達が重要であることが分かった。さらに、NSCLC患者の遺伝子発現データの解析により、NSCLC患者の試料ではHMGA2とTGFBR3が協調的に調節されていることが明らかになったが、これはHMGA2がceRNAとして機能すると推論するのに十分な結果である。これらの結果を総合すると、Hmga2は、タンパク質コード遺伝子としても、非コードRNAとしても、肺がんを促進することが示唆される。このように遺伝子発現ネットワークを二重に調節する機能は、がん遺伝子によるがんのプログレッション促進の新しい仕組みと考えられる。

