Letter

材料:ウエハースケールグラフェン膜の対面式の移動

Nature 505, 7482 doi: 10.1038/nature12763

グラフェンは、実験的に発見されて以来世界中の関心を集めているが、成長に関連する形態上の欠陥や、移動によって生じる亀裂やしわのない、大面積かつ連続的なグラフェン膜をSiO2/Siウエハー上に作るのはまだ困難な課題である。化学蒸着によるCu箔上へのグラフェンの成長が、工業規模のロール・ツー・ロール技術と適合性があるため、有力な手法として報告されている。しかし、Cu箔は、多結晶性で微視的な粗さがあるため、このようなロール・ツー・ロールで移動した膜では亀裂やしわが避けられない。オプトエレクトロニクス変調器、トランジスター、オンチップバイオセンサー、トンネル障壁などのデバイスを含むフォトニクスやエレクトロニクスへ広範囲に応用できるようにするには、任意の基板上に高品質のグラフェン膜を高い忠実度で移動させたり直接成長させたりする必要がある。SiO2/Siウエハーなどの絶縁性基板でのグラフェン膜の直接成長はこの用途には有用であると思われるが、現在の研究努力は概念実証段階にとどまったままであり、不連続でナノメートルサイズの島状構造しか得られない。今回我々は、ウエハースケールのグラフェン膜の対面式移動法を開発した。これは1枚のウエハー上で成長と移動のステップの両方を実現するこれまで知られている唯一の方法である。この自発的な移動法は、金属触媒のエッチング中にグラフェン膜と下地の基板との間に発生する気泡と毛細管ブリッジを利用している。これは、水中の葉にくっついたままになるようアマガエルが使う方法と似ている。これまでの湿式移動や乾式移動の結果とは対照的に、この対面式移動は手で行う必要がなく、どのようなサイズと形状の基板にも適合する。そのため、この方法には、移動による欠陥の密度が従来型の移動法に比べて非常に低いという利点がある。最も重要なことは、グラフェンを直接成長させ、下地基板に自発的に付着させるこの方法は、半導体製造ラインでバッチ処理が行えるため、グラフェンの技術的な応用を促進できることである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度