免疫:共生細菌の代謝産物は末梢での制御性T細胞の発生を促進する
Nature 504, 7480 doi: 10.1038/nature12726
腸内微生物は、多細胞宿主に栄養素を提供し、感染への抵抗性を付与する。炎症促進性機構と抗炎症性機構の間の精巧なバランスは腸管免疫の恒常性に不可欠で、共生微生物群集の組成によって影響を受ける。転写因子Foxp3を発現する制御性T細胞(Treg細胞)は、腸内での炎症応答の制限に重要な役割を担っている。共生微生物群集中の特定の細菌が、抗炎症性Treg細胞あるいは炎症性17型ヘルパーT(TH17)細胞の発生を増やすことは分かっているが、この過程を駆動する分子レベルの合図が何かは分かっていない。共生微生物によって提供される重要な代謝機能を考慮すれば、共生微生物の代謝副産物が免疫系の細胞によって感知され、炎症促進性細胞および抗炎症性細胞の間のバランスに影響を与えるのではないかと我々は考えた。本論文では、抗炎症性Treg細胞の発生に、微生物代謝産物が及ぼす影響を調べることでこの仮説を検討した。マウスでは、デンプンの発酵過程で共生微生物によって産生される短鎖脂肪酸(SCFA)の酪酸が、Treg細胞の胸腺外発生を促進することが分かった。酪酸供給後のTreg細胞数の急増はTreg細胞の胸腺外分化の増強に起因している。それは観察されるこの現象が、胸腺外のTreg細胞分化には不可欠だが、胸腺内Treg細胞分化には必ずしも必要とされないイントロン性エンハンサーCNS1(conserved non-coding sequence 1)に依存的であることから分かる。さらに、末梢でのTreg細胞のde novo発生は、微生物起源のまた別のSCFAで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害できるプロピオン酸によっても増強されたが、HDAC阻害活性のない酢酸では増強されなかった。この結果は、細菌の代謝産物が、共生微生物叢と免疫系の間の情報交換を仲介していて、炎症促進性機構および抗炎症性機構の間のバランスに影響を与えていることを示唆している。

