応用物理学:運動性コロイド集団における巨視的方向性運動の出現
Nature 503, 7474 doi: 10.1038/nature12673
動物の集団形成からバクテリア集団の協調運動の出現まで、あらゆるスケールの運動性生物の集団は、コヒーレントな集団運動を示す。こうした一貫性のある挙動は、個体間のコミュニケーション能力に違いがあるのと全く対照的である。この普遍的な特徴に基づき、個々のレベルの整列ルールだけで、集団レベルの一方向性運動の出現を説明できる可能性があると提案されている。この仮説はエージェントベース・シミュレーションによって裏付けられてきた。しかし、渦の形成、揺れ動く群れ、クラスター化、旋回など、より複雑な集団的挙動が実験において系統的に見いだされている。これらの(生物および人工)モデル系(バクテリア、生体フィラメント、分子モーター、振動を受ける粒、反応性コロイド)は全て、主として実際の衝突に頼って集団運動を生み出している。結果として、潜在的な局所的整列ルールは、もっと複雑でしばしば未知である相互作用と絡み合っている。従って、集団の大規模挙動は、これらの制御されない微視的な結びつきに強く依存しており、その測定と理論的記述は極めて困難である。今回我々は、数百万の転がるコロイド粒子の低密度集団が自己組織化して、密度と速度のゆらぎがほとんどないコヒーレントな一方向運動を実現することを報告する。転がる粒子間の微視的相互作用を定量的に特定することによって、この極性液体状態の理論的記述が可能になる。理論と実験結果を比較したところ、流体力学的相互作用によって、低密度における単一の巨視的な「群れ」か、高密度における均一極性相のどちらかの形態をとる集団運動の出現が促進されることが示唆される。さらに、流体力学的挙動によって、これまで自己推進型粒子集団の特徴と考えられていた巨大な密度ゆらぎが起こらないよう、極性液体状態が保護される。今回の実験結果は、均一な活動集団に安定な方向性運動をさせるには、個々のレベルでの純粋に物理的な相互作用で十分であることを実証するものである。

