Letter
物理:超伝導量子ビットの単一量子トラジェクトリーを観測する
Nature 502, 7470 doi: 10.1038/nature12539
量子系が重ね合わせ状態を維持できる時間の長さは、系が周囲の環境とどれほど強く相互作用するかで決まる。この相互作用によって、量子状態は環境固有のゆらぎとの間で量子もつれを形成する。もし、これらのゆらぎが測定されなければ、環境は雑音源と見なすことができ、量子系は最初の純粋状態から統計的な混合状態へとランダムに発展する。この過程はデコヒーレンスとして知られている。しかし、実時間で環境を正確に測定すれば、量子系を純粋状態に保つことができ、その時間発展は測定結果で決まる「量子トラジェクトリー」によって記述できる。今回我々は、弱い測定を用いて超伝導量子ビット(キュービット)を含むマイクロ波共振器をモニターし、この系の個々の量子トラジェクトリーを追跡した。このセットアップでは、環境は共振器の単一電磁モードのゆらぎに支配される。量子限界に近いパラメトリック増幅器を使って、我々は共振器場の位相あるいは振幅のいずれかを選択的に測定し、その結果トラジェクトリーをブロッホ球の赤道上あるいは子午線上のいずれかに閉じ込めた。このトラジェクトリーに沿って離散時間で量子状態トモグラフィーを行い、量子系がブロッホ球の表面上を拡散するとき、量子系の状態を忠実に追跡したことを確かめた。今回の結果によって、デコヒーレンスは環境のモニタリングによって軽減できることが実証され、ベイズ統計に基づく量子フィードバック法の基礎が正しいことが確かめられた。さらに、今回の実験結果は、遠隔作用を利用して測定を通して量子状態を操作する、いわゆる「量子ステアリング」を実行するための新しい手段を示唆している。

