細胞:血小板に偏った幹細胞は造血幹細胞階層構造の頂点に位置する
Nature 502, 7470 doi: 10.1038/nature12495
血液系は造血幹細胞(HSC)の小さな集団によって維持されており、生涯にわたってヒトの全血液細胞系譜を1秒当たり数百万個の速度で補充するにはHSCが必要で、またHSCがあれば十分である。骨髄の巨核球は、血液中の血小板の持続的産生を担っているが、血小板は多くのがん治療でよく見られる生命に関わる副作用である出血を防止するのに重要であるため、骨髄移植や化学療法の後に血小板産生を促すのに最も適した細胞標的および分子標的を見つけることに多大な努力が注がれている。リンパ系あるいは骨髄系の血液細胞の産生に安定的に偏ったHSCの別個のサブセットが存在することは明らかになっているが、他の種類の細胞系譜に偏ったHSCが存在するかどうかは分かっておらず、またそのようなHSCどうしの関係や、細胞系譜に偏ったHSCが産生・維持される様式の違いも明らかにされていない。巨核球とHSCの細胞表面表現型を持つ骨髄細胞の間には、表現型にも分子的にも顕著な類似性があるが、その機能的な関連は分かっていない。今回我々は、血小板特異的な遺伝子発現をプライミングされ、短期および長期の血小板再構築傾向が高まった、分子的にも機能的にも独特なマウスHSCのサブセットを発見し、予期的に単離した。血小板に偏ったHSCの維持は、血小板の発生の主要な外因性調節因子であるトロンボポエチンに決定的に依存している。血小板にプライミングされたHSCは、長期にわたって骨髄細胞系譜への偏りも持つことが多く、自己複製することができ、リンパ系に偏ったHSCを産生できる。これらの知見から、HSCサブタイプは、血小板にプライミングされたHSCを頂点とする階層構造を形成していることが分かる。また、この結果は、血小板の発生のための分子的および機能的なプライミングが、特定のHSC集団ですでに開始されていることも実証している。血小板にプライミングされたHSC集団を特定することにより、血小板の産生を高める治療の合理的な設計が可能になるだろう。

