細胞:細菌の腸感染過程でIII型エフェクターはデス受容体シグナル伝達に拮抗する
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12524
腸病原菌による感染の成功は、細菌の腸での定着、宿主組織での複製に加えて、他の宿主への播種ができるかどうかに依存している。サルモネラ菌(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)および腸管病原性大腸菌(EPEC)や腸管出血性大腸菌(EHEC)のような病原体は、感染過程でIII型分泌装置(T3SS)を用いて毒性のあるエフェクタータンパク質を宿主細胞に送り込み、これは定着を促進し宿主の抗微生物応答を防止する。本論文では、EPEC由来のT3SSエフェクターであるNleB1が、宿主細胞のデスドメイン含有タンパク質に結合し、それによってデス受容体シグナル伝達を阻害することを報告する。タンパク質相互作用を調べたところ、NleB1が、FADD、TRADDおよびRIPK1と結合することが突き止められた。NleB1の異所性発現、あるいは細菌T3SSによるNleB1の注入は、FasリガンドあるいはTNFによって誘導される典型的なDISC(細胞死誘導シグナル伝達複合体)形成およびカスパーゼ-8のタンパク質分解活性化(デス受容体誘導性アポトーシスに不可欠な段階)を阻害した。この阻害は、NleB1のN-アセチルグルコサミントランスフェラーゼ活性に依存していて、この活性によりFADDデスドメインのArg117が特異的に修飾された。宿主防御に対するデス受容体アポトーシス経路の重要性は、FASシグナル伝達経路を欠損するマウスを用いて実証された。そのようなマウスでは、EPECに似たマウス病原体であるCitrobacter rodentiumの除去が遅延し、FASを介するアポトーシスシグナル伝達を阻害するnleBの、変異による毒性低下が、解消する。NleBのこのような活性から、EPECなどの接着性微絨毛消失性(attaching and effacing;A/E)病原体は感染細胞のデス受容体誘導性アポトーシスに拮抗することで、宿主の主要な抗微生物応答を阻止していると考えられる。

