Letter
有機化学:第三級アルコールから第三級アルキルイソニトリルおよび第三級アミンへの立体反転
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12472
SN2(2分子求核置換)反応はよく知られた化学変換で、2つの小分子を結合させてより大きな分子を得たり、ある官能基を別の官能基に交換したりするために用いることができる。SN2反応は、全く予想されるとおりに進む。すなわち、求核試薬が求電子炭素の「背面攻撃」をする結果、立体化学の反転を伴う置換が起こる。SN2反応には、第三級炭素原子では起こりにくいという大きな制約がある。第一級および第二級アルコールはこの反応の前駆基質となり得るのに対し、第三級アルコールとその誘導体は、通常、反応しないか、立体化学的混合物を生成するかのどちらかである。今回我々は、窒素含有求核試薬を用いたキラルな第三級アルコールの立体化学の反転について報告する。この反応は、ルイス酸が触媒する加溶媒分解によって容易に起こる。この方法は、第二級および第一級アルコールには作用せず、SN2反応とは相補的な化学選択性を示す。さらに、炭素–窒素結合を形成するこの方法は、海洋テルペノイド合成における推定生合成段階に似ており、この方法を使えば、対応する陸上テルペンから海洋テルペノイドを合成できる。我々は、この方法論が一般性を持つことからみて、キラルな第三級アルコールは立体反転反応を起こし得る基質と見なしてよいだろうと考える。

