構造生物学:親和性と選択性の高いリガンド結合タンパク質の計算による設計
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12443
どんな小分子に対しても、その小分子に高い親和性と選択性を持つタンパク質を設計できるかどうかは、分子認識をつかさどる生理化学の基本原理に対する我々の理解への厳しいテストとなる。しかし、リガンド結合タンパク質を合理的に設計する試みはほとんど成功しておらず、タンパク質と小分子の界面の計算による設計という問題はまだ解かれていない。医学や生物工学で使用するためにリガンド結合タンパク質を設計するための方法として現在使われているものは、免疫した動物の体内で標的抗原に対する抗体を産生させたり、目的のリガンドに対する親和性が低い既存タンパク質を実験室で方向付けて進化させたりすることによっているが、これらはどちらも、結合に関与する相互作用を完全に制御することはできない。今回、我々は、あらかじめ結合に適した配置を取り、形が相補的である小分子結合部位を設計するための一般的な計算手法を報告する。我々は、その手法を用いてステロイドであるジゴキシゲニン(DIG)に結合するタンパク質を作出した。実験で特性を調べた17の設計モデルのうち、2つがDIGに結合した。これらのうち、親和性がより高い結合物モデルは、設計セット中で最もエネルギー的に有利で、あらかじめ結合しやすい配置の界面を持つ。ライブラリ選択と大規模シークエンシングにより、この設計の包括的な結合適応度地形を生成させ、これを用いて親和性をピコモルレベルまで最適化した。こうして得た2つの変異体のX線共結晶構造は、対応する計算モデルと原子レベルで一致した。最適化された結合物は、関連ステロイドであるジギトキシゲニン、プロゲステロン、β-エストラジオールに比べてDIGに対する選択性が高い。そして、このステロイド結合選択性は、系統的に設計された水素結合相互作用の操作によりプログラムし直すことができる。計算によるこの設計手法により、新世代のバイオセンサー、治療法、診断法の開発が可能になるだろう。

