がん:MEKを阻害する機構がKRAS変異によるがんとBRAF変異によるがんでの有効性を決定する
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12441
KRASおよびBRAFの活性型変異は、MAPK経路の構成的活性化を介して腫瘍形成を引き起こす。このような腫瘍に対する治療薬が強く求められているが、その要求はまだ満たされておらず、両遺伝子型でMAPKシグナル伝達を阻害する多数のアロステリックMEK阻害剤が臨床試験中である。BRAF変異型黒色腫ででは優れた単剤活性が観察されているものの、KRAS変異型疾患では有効性ははるかに劣る。本論文では、KRAS変異型腫瘍とBRAF変異型腫瘍ではMEKの活性化を調節する機構が異なるため、各遺伝子型における最適な抗腫瘍活性には異なる阻害機構が必要であることを示す。構造解析および機能解析から、KRAS変異型腫瘍でより優れた有効性を示すMEK阻害剤(GDC-0623およびG-573;GDC-0623は、現在、臨床第I相試験中)は、MEKのS212と強力な水素結合相互作用を形成することを示す(MEKのS212は、野生型RAFによるMEKのフィードバックリン酸化の阻止に重要)。逆に、BRAF変異型腫瘍では、活性型のリン酸化MEKを強力に阻害するためにMAPK経路の強力な阻害が必要で、その結果、この遺伝子型ではGDC-0973(別名、コビメチニブ;現在、臨床第III相試験中のMEK阻害剤)が優れた有効性を示す。我々の研究は、KRAS変異型腫瘍とBRAF変異型腫瘍におけるMEKの活性化状態の違いを利用すれば、MEKのこうした異なる活性化状態を特定して標的とする阻害剤の設計に生かせることを強調している。これらの阻害剤は、KRASとBRAFの前臨床モデルで見られた治療指標の改善が、患者の臨床応答の改善にも反映されるかどうかを調べるために、現在、臨床試験で評価中である。

