細胞:宿主デス受容体シグナル伝達を受容体デスドメインのアルギニンへのアセチルグルコサミン付加によって阻害する病原体
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12436
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーは、免疫恒常性や細胞死、炎症に不可欠である。このようなサイトカインは、デス受容体のTNF受容体(TNFR)ファミリーのメンバーによって認識され、このような受容体にはTNFR1、TNFR2、FAS、TRAIL(TNF関連アポトーシス誘導リガンド)受容体などが含まれる。デス受容体によるシグナル伝達には、受容体とその下流のアダプターとのデスドメインを介した同型または異型の相互作用が必要である。これらのアダプターには、TRADD(TNFR1関連デスドメインタンパク質)やFADD(FAS関連デスドメインタンパク質)がある。今回我々は、TRADD、FADD、RIPK1、TNFR1などのいくつかのタンパク質のデスドメインが、腸管病原性大腸菌(EPEC)のIII型分泌装置のエフェクターであるNleBによって直接不活性化されたことを見いだした。NleBは、宿主のNF-κBシグナル伝達を阻害することが知られている。NleBには、これまで前例が知られていないN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)トランスフェラーゼ活性があり、これがデスドメインの保存されているアルギニン(TRADDデスドメインではArg235)を特異的に修飾する。EPEC感染細胞では、NleBによるデスドメインへのGlcNAc化(タンパク質側鎖へのGlcNAc付加)がデスドメインの同型または異型の相互作用を妨げ、TNFR1オリゴマー複合体の形成を阻害し、それによってNF-κBシグナル伝達などのTNFシグナル伝達を遮断し、アポトーシスやネクローシスを阻害する。III型分泌装置が送り込んだNleBは、FADDを介したDISC(細胞死誘導シグナル伝達複合体)の形成を妨げることで、FASリガンドとTRAILが誘導する細胞死を阻害する。EPEC感染マウスモデルでの細菌の定着には、NleBのアルギニンGlcNAcトランスフェラーゼ活性が必要である。NleBのこのような作用機構は、細菌が宿主の防御機構に対抗するために用いる新規な方法であり、これまで見つかっていなかった翻訳後修飾でもある。

