医学:遺伝学的にヒト化されたマウスでのC型肝炎ウイルス全生活環の実現
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12427
C型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染者は世界で1億3000万人を超えており、深刻な肝疾患を発症するリスクにさらされている。HCV感染に対しては、抗ウイルス治療は不完全な効果しかなく、ワクチンは存在しない。そして、小動物モデルがないことが、より効果的な治療法の開発を阻んできた。マウス細胞を、HCVの侵入を受け入れる細胞に変換するのに必要なヒト因子の最少の組み合わせが、CD81とオクルディン(OCLN)であるという観察結果に基づいて、我々は以前に、この2つのヒト遺伝子を一時的に発現させるだけで、完全に免疫適格な近交系マウスへのウイルス取り込みが可能になることを明らかにした。今回我々は、ヒトCD81とOCLNを安定に発現するトランスジェニックマウスもHCVの侵入を許すが、自然免疫応答および適応免疫応答のためにin vivo HCV感染は制限されることを明らかにする。HCVを感染させた遺伝学的ヒト化マウスで抗ウイルス免疫を抑制すると、検出可能な程度のウイルス血症が数週間にわたって続いた。補因子シクロフィリンA(CypA)を持たないマウスでは、HCVのRNA複製が顕著に低下し、これはRNA複製過程が野生型細胞での過程を忠実に再現していることを示す遺伝的な証拠となる。NS3-4Aプロテアーゼによって活性化される細胞ベースの蛍光レポーターを用いることにより、in vivoで1個の肝細胞へのHCV感染が可視化された。HCV持続感染マウスでは、感染性ウイルス粒子がde novoに産生され、この粒子産生は直接作用する抗ウイルス薬の投与によって阻害可能であった。従ってこれは、近交系マウスでHCVの生活環全体が実現したことの証拠となる。この遺伝学的にヒト化されたマウスモデルは、HCV感染をin vivoで遺伝学的に詳しく調べる新たな道を開き、治療薬候補を試験して優先順位を付ける前臨床研究の重要な基盤となり、ワクチン有効性の評価にも役立つ可能性がある。

