Letter
細胞:転写因子によるin vitroでのマウス生殖細胞系譜の誘導
Nature 501, 7466 doi: 10.1038/nature12417
生殖細胞系譜は、接合することで全能性の受精卵となる雌雄の配偶子を作り出し、生命の連続性を保証する。我々は以前、サイトカインを用いて、胚性幹細胞や誘導多能性幹細胞をエピブラスト様細胞(EpiLC)へと誘導し、そこから始原生殖細胞(PGC)様の細胞を誘導して、これらの細胞が精子形成や卵形成に寄与することを示した。これにより、哺乳類における雌雄の生殖細胞発生をin vitroで理解し、調節する可能性が開かれた。本研究では、サイトカインを用いず、3つの転写因子、Blimp1(別名Prdm1)、Prdm14およびTfap2c(別名AP2γ)を同時に過剰発現させることで、胚性幹細胞ではなく、EpiLCが迅速かつ高い効率でPGCの状態へ誘導されることを示す。また、EpiLCをPGCの状態に誘導する上で、Blimp1やTfap2c単独では不十分であるが、Prdm14は単独でも十分であった。転写因子により誘導されたPGCの状態は、用いた転写因子によらず、PGCにおける主要なトランスクリプトームやエピジェネティックリプログラミングを再構成しているが、BMP4(骨形成タンパク質4)などのサイトカインによってPGCやPGC様細胞を誘導した際に起こる中胚葉性プログラムの活性化を経ていない。この転写因子により誘導されたPGC様細胞は、精子形成を行い、妊孕性のある産仔を生み出した。今回の結果は、PGC運命決定における転写因子の作用機序について新たな理解をもたらし、転写因子を用いて哺乳類の配偶子形成を再構成し調節する基盤となるものである。

