遺伝学:ビタミンCはES細胞でTet依存的なDNA脱メチル化および胚盤胞様状態を誘導する
Nature 500, 7461 doi: 10.1038/nature12362
DNAメチル化は遺伝性のエピジェネティックな修飾で、遺伝子サイレンシング、インプリンティング、およびレトロトランスポゾンの抑制に関与する。初期胚および生殖細胞系列で起こるゲノム全体のDNA脱メチル化には、5-メチルシトシン(5mC)を5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に変換するTet(ten eleven translocation)酵素が関わっている可能性がある。Tet酵素は、ビタミンC非存在下で培養されることが多いマウス胚性幹(ES)細胞で広く研究されてきたが、ビタミンCはTet酵素のようなFe(II) 2-オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素の強力な補因子である。我々は今回、マウスES細胞にビタミンCを添加するとTet活性が促進され、5hmCがゲノム全体で急速に増加することを報告する。これに続き、多くの遺伝子プロモーターのDNA脱メチル化と、脱メチル化された生殖細胞系列遺伝子の発現上昇が引き起こされる。Tet1の結合は、ビタミンC処理の影響を受ける遺伝子の転写開始部位近傍に多く見られる。重要なのは、生化学的分析でビタミンC以外の抗酸化物質は組換えTet1の活性を高める影響を示さず、また、ビタミンCによって誘導される5hmCおよび5mCの変化は、Tet1およびTet2のダブルノックアウトES細胞では完全に抑制されることである。ビタミンCは、胚盤胞に比べて培養ES細胞でメチル化を受けやすい領域、つまり、in vivoでは着床後にのみメチル化される領域に、より強い影響を及ぼす。対照的に、インプリンティングを受けた領域やIAP(intracisternal A particle)レトロエレメントは、初期胚で脱メチル化に抵抗性を示す領域であり、ビタミンC誘導性DNA脱メチル化を受けにくい。まとめると、この研究の結果により、ビタミンCが、ES細胞におけるTet活性およびDNAメチル化の忠実度の直接的な調節因子であることが確立された。

