Letter

医学:ヒトから分離されたH7N9インフルエンザウイルスの受容体への結合

Nature 499, 7459 doi: 10.1038/nature12372

中国でH7N9インフルエンザウイルスに感染したことが確定している132の症例では37人が死亡し、多数が重症となった。これらのヒト感染には、ウイルスに感染した家禽との接触が関与していたらしい。我々は、このH7N9ウイルスの受容体結合特性について調べ、鳥H7N3ウイルスの受容体結合特性と比較した。ヒトH7ウイルスは、鳥H7ウイルスに比べると、α-2,6結合型シアル酸類似体(ヒト受容体)に対する親和性が大幅に高いが、その一方で鳥ウイルスの特徴であるα-2,3結合型シアル酸類似体(鳥受容体)に対する強力な結合能を保持していることが分かった。従って、ヒトH7ウイルスは、鳥受容体よりもヒト受容体への選択性が高いという、パンデミックウイルスの特徴は持っていない。受容体結合タンパク質であるヘマグルチニン(HA)と受容体類似体との複合体のX線結晶学的解析からは、ヒトおよび鳥の受容体は両方とも、鳥H7 HAに結合した場合のコンホメーションと、ヒトH7 HAに結合した場合のコンホメーションが異なることが分かった。ヒトH7 HAに結合したヒト受容体は、パンデミックウイルス由来HAおよび空気感染性H5変異ウイルス由来HAとの複合体で見られるのとは異なる方向に結合部位が突き出ている。ヒトH7のヒト受容体結合特性はおそらく、Gln226LeuおよびGly186Valという置換によって2つのかさばる疎水性残基が導入されたことから生じたと考えられる。Gln226Leu置換は、1957年のH2および1968年のH3というパンデミックウイルスや、空気感染性H5変異ウイルスに共通である。我々は、ヒトH7ウイルスが、パンデミックウイルスに典型的な受容体結合特性の一部を獲得してはいるが、鳥受容体への選択性をなお保持していることが、細胞受容体ではなくヒト気道のムチン(鳥受容体に豊富に含まれる)に結合することでヒト間で効率的に伝播し得るウイルスへのさらなる進化を制限している可能性があると考えている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度