Letter
気候:複数の気候目標によって減少する許容炭素排出量
Nature 499, 7457 doi: 10.1038/nature12269
気候目標は、温室効果ガスなどの物質の人為的な排出によって起こる気候変動の大きさと影響を制限しようとする政策に情報を与えるように意図されている。世界の政府の大半に現在認められている気候目標は、産業革命前の時代以降の全球の平均的な温暖化を2°Cに制限している。これによって、21世紀以降の二酸化炭素排出量を持続的に大きく削減する必要が生じると思われる。しかし、このような全球気温目標は、過渡的な海水準上昇、海洋の酸性化、陸域の純一次生産量などの、その他の多くの量を制御するのに十分ではない。本論文では、観測情報を取り入れたベイズ法に、中程度に複雑な地球システムモデル(EMIC)を使って、複数の気候目標を設定すると、許容炭素排出量が大きく減少することを示す。我々は、観測に基づくさまざまな制約条件に加えて、物理モデルと炭素循環モデルのパラメーター、放射効率、気候感度、炭素循環フィードバックにおける不確かさを考慮に入れている。この枠組みの中で、統合評価コミュニティーから得られた経済的に実現可能なさまざまな温室効果ガスシナリオを調べ、さまざまな想定の下での特定の全球目標や地域目標の組み合わせを満足する可能性を決定している。そうした目標の組み合わせを満足する定められた全ての可能性において、許容累積排出量は、気温目標のみから推定される許容累積排出量から大きく減少する。従って、気温目標のみでは、人為的な排出によるリスクを包括的に制限することはできない。

