進化:更新世中期初頭のウマのゲノム塩基配列を用いたウマ属進化の再検討
Nature 499, 7456 doi: 10.1038/nature12323
ウマ科動物は化石記録が豊富なため、進化の過程のモデルとなっている。本論文では、約78万〜56万年前の永久凍土層から発掘されたウマの骨に由来する、カバー率1.12倍の概要ゲノムについて報告する。このデータは、これまでに配列解読された中で年代的に最古の全ゲノム塩基配列であり、従来の最古の年代をほぼ1桁さかのぼる。比較のため、更新世後期(4万3000年前)のウマ、現生の家畜ウマ(Equus ferus caballus)の5品種、モウコノウマ(E. f. przewalskii)、およびロバ(E. asinus)に関してもゲノム塩基配列の解読を行った。分析の結果、現代のウマ、シマウマおよびロバの全ての起源となるウマ属(Equus)系統が生じたのは450万〜400万年前であることが示唆された。これは、ウマ属の最終共通祖先に関して従来認められてきた年代値の2倍の古さである。また、ウマ集団のサイズが過去200万年の間にたびたび変動し、特に過酷な気候変動のあった期間にサイズ変動が見られることもわかった。モウコノウマと家畜ウマの集団は7万2000〜3万8000年前に分岐したと推定され、研究対象とした家畜ウマ品種とモウコノウマとが最近混合した証拠は認められなかった。このことは、モウコノウマが最後の現存する野生ウマ集団であるという主張の裏付けとなる。モウコノウマ集団と家畜ウマ集団に同等レベルの遺伝的変動が認められたことから、モウコノウマは遺伝的に存続能力があり、保護活動に値すると考えられる。また、ウマの進化の過程を通じて、免疫系および嗅覚に対し持続的な選択がかかってきたことを示す証拠も得られた。さらに、ウマ品種には、中立から乖離し、モウコノウマと比較して低レベルの遺伝的変動を示すゲノム領域が29か所見つかった。こうした領域は、家畜化過程の早期に選択された遺伝子座に対応している可能性がある。

