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神経科学:ショウジョウバエの摂食運動プログラムに指令を下す1対の介在ニューロン

Nature 499, 7456 doi: 10.1038/nature12208

摂食行動の多くは、定型的に順を追って起こる一連の運動パターンの結果である。こうしたパターンは神経行動学の研究対象の1つで、例えばヒキガエルが餌を捕える行動を支配するニューロン群の電気生理学的性質などが研究されてきた。しかし、技術的な制限から、これらのニューロンの機能的役割を詳細に調べるのは困難であり、これは脊椎動物に共通した問題となっている。動物個体の行動研究にまつわる複雑さからくる困難は、ショウジョウバエ(Drosophila)の利用によって解決できる可能性がある。ショウジョウバエでは遺伝学的手法を用いると脳細胞を遠隔操作により活動させることができるので、自由行動下の動物の神経系について特定の行動を支配しているニューロン群を同定し、これらを繰り返し狙って操作を加えることによりこれらのニューロンの機能を解析することも可能である。本論文では、ショウジョウバエの摂食運動プログラムを引き起こすニューロンについて報告する。ニューロンの遠隔的活性化法を用いてバイアスのないスクリーニングを行い、活性化すると一連の摂食行動全体を誘発する重要な1対の脳細胞の同定に成功した。この「摂食(feeding;Fdg)ニューロン」は、抑制あるいは除去するとショ糖刺激で誘発される摂食行動が消失することから、自然の摂食にも必須なことがわかる。1対のFdgニューロンのうち一方のみを活性化すると、左右非対称な摂食行動が起こり、一方のみを除去するとショ糖刺激によって起こる摂食行動が非対称となることから、Fdgニューロンは運動プログラムを形作る直接的な役割を担っていることがわかる。さらに、摂食行動中のカルシウム画像法を用いたニューロンの活動記録によって、Fdgニューロンは餌の提示に応答するが、この応答は空腹時にのみ見られることがわかった。この結果は、Fdgニューロンが、感覚シグナルおよび代謝シグナルの下流かつ摂食運動を司る神経回路網の最上流にあって、摂食を行うか否かの判断を実行するために、感覚機構と運動機構の間の境界領域内で働いていることを示している。

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