免疫:BACH2はエフェクタープログラムを抑制してTregを介した免疫恒常性を安定化する
Nature 498, 7455 doi: 10.1038/nature12199
異なるCD4+ T細胞系列は、その機能的多様性を介して、免疫反応によって誘導される病態を促進もしくは抑制することができる。転写因子は細胞の多様性形成に非常に重要であり、別の運命に向かうのに拮抗する負の調節因子は、系列拘束を安定化する正の調節因子と連動して作用することが多い。転写因子BACH2をコードする単一遺伝子座の遺伝子多型は、喘息、クローン病、セリアック病、白斑、多発性硬化症、1型糖尿病などの多数の自己免疫性およびアレルギー性疾患と関連している。このような関連は、多様な免疫疾患に対する感受性の基盤に共通の機構が働いていることを示唆しているが、免疫恒常性の維持におけるBACH2の機能はまだ明らかになっていない。今回我々は、Bach2遺伝子を欠損させたマウスを使って、BACH2が免疫活性化の幅広い調節因子であって、CD4+ T細胞における免疫調節能力を安定化する一方で、複数のエフェクター系列の分化プログラムを抑制する働きをしていることを明らかにした。BACH2は制御性(Treg)細胞の効率的な形成、したがってTreg細胞依存的な致死性炎症の抑制に必要であった。一方、全ゲノムにわたる機能評価により、BACH2がエフェクター細胞分化に関連する遺伝子群を抑制することが明らかとなった。それゆえ、BACH2の欠損により、Treg細胞分化過程でエフェクター系列への不適切な転換が生じた。さらに、BACH2はTH1、TH2、およびTH17細胞系列でのエフェクター分化を抑制した。これらの知見は、BACH2がCD4+ T細胞分化の重要な調節因子で、免疫寛容と免疫反応との間のバランスの調節によって炎症性疾患を防止していることを明らかにしている。

