Letter

ゲノミクス:単一細胞トランスクリプトミクスが示す免疫細胞における発現とスプライシングの二峰性

Nature 498, 7453 doi: 10.1038/nature12172

最近の分子レベルでの研究により、個々の細胞は、均質に見える集団に由来する場合でさえも、遺伝子発現、タンパク質レベル、表現型にかなりの違いを示し、それらが機能的に重要な結果をもたらすことがあると報告されている。しかし、ごく最近になるまで、単一細胞系にはゲノムプロファイリングの方法を適用することができなかったため、細胞の不均質性に関するこれまでの研究は、あらかじめ選択した少数のRNAかタンパク質のみを同時に計測するのが普通であった。本研究では、単一細胞RNA塩基配列解読を用いて、マウスの骨髄由来樹状細胞(BMDC)のリポ多糖への応答における不均質性を研究した。我々は、メッセンジャーRNAの存在量とスプライシングパターンに、これまでに観察されていなかった二峰性変動を広範囲にわたって見いだし、選択した転写産物に対するRNA蛍光in situハイブリダイゼーションによってこれを確認した。特に、数百の主要な免疫遺伝子が、細胞によらず二峰性に発現しており、意外にもこの傾向は、集団平均で非常に高く発現している遺伝子においてさえ見られる。さらに、スプライシングパターンは、細胞間でこれまでに観察されたことのないレベルの不均質性を示す。観察された二峰性の中には、BMDCの既知の成熟状態のうち、密接に関連するが別々の状態に起因すると思われるものもあるが、それ以外は、主要な調節回路の利用の仕方が違うことを反映している。一例として我々は、極めて変化しやすいが、共調節されている137個の抗ウイルス応答遺伝子からなるモジュールを同定した。ノックアウトマウスの細胞を用い、このモジュールにおける変動性が、転写調節因子Stat2とIrf7が関わるインターフェロンフィードバック回路を介して伝えられている可能性を示す。我々の研究は、細胞間の機能的多様性を明らかにし、細胞の状態や回路を解き明かす上で、単一細胞ゲノミクスが持つ威力と有望性を実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度